巣/人生の意味/植毛

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短歌

手紙魔まみ感想125・126

ハイジャック犯を愛した人質の少女の爪のマニキュアの色 ストックホルム症候群らしき少女の『爪のマニキュアの色』で終わっている。マニキュアの色がどうだから何なのかもわからない。なぜそこにスポットを当てたのかもわからないが、ケバケバして尖っていて…

手紙魔まみ123・124

新婚旅行へゆきましょう、魂のようなかたちのヘリコプターで 前歌から続いて結婚→新婚旅行の流れ。 魂というあやふやなものをメインにしている。はっきりとしない物をメインにしていることを雰囲気でやっていると前回も書いたが、ここも魂に形があるように進…

手紙魔まみ感想121・122

夏みかん剝いて笑って まみの上に倒れて英語のうたをうたって 『剝いて』『上に倒れて』などで、食とセックスの類似のイメージを想わされる。『~て』による区切りの連続、『笑って』『英語のうた』など、爽やかな印象が強い。セックスというよりじゃれ合っ…

手紙魔まみ感想119・120

コンセントに差し込む奴の先っぽをもって走るの、さがしているの 差し込む方はプラグで差し込まれる方がコンセントが正式な名称だが、確かに誤用、混同が多かったり、『差し込む方』的言い方でプラグという言い方がされにくい。 その言い方と、動詞の連続が…

手紙魔まみ感想117・118

午前四時半の私を抱きしめてくれるドーナツショップがないの 午前四時半という時間帯はなかなか厳しい時間帯的雰囲気を帯びている。この時間帯に起きているというのは、夜勤労働者、不眠症、早朝覚醒などで、何かしらの負担を抱えている。それは、本人の努力…

手紙魔まみ感想115・116

東京のカタツムリってでっかくて、渦、キモチワルキレイ、熱帯! 促音や長いカタカナでリズムが乱れるが『キモチワル/キレイ』という合成語で切れ目になる。声に出して読むと、目で見る印象とは異なり、それほど崩れてはいない。 東京で野生生物を眺めると…

手紙魔まみ113・114

早く速く生きてるうちに愛という言葉を使ってみたい、焦るわ 短歌を作るっていうのが使ってみたい言葉を使うためという面があり、字書き趣味を感じさせる。相応しい場面、相応しい相手。字を読むという行為は死人に関わる言及、著者が死人であるなどの事態か…

手紙魔まみ感想111・112

手紙魔まみキモチワルキレイ 不思議だわ。あなたがギターじゃないなんて、それはピックじゃなくて舌なの? ラケットで蝶を打ったの、手応えがぜんぜんなくて、めまいがしたわ 似ている気がするのでまとめて書く。 主体にとっての常識と客観的な常識が擦り合…

手紙魔まみ感想109・110

「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士 『凍る、燃える』から暴力的なニュアンスを受け取るのは、『宇宙』が温度のない世界として『凍る』ということの恐ろしさを高めるからのように思える。氷や熱は近くの歌でよく出されていたが、極…

手紙魔まみ感想107・108

溺れたひとという想定の人形のあたまを抱(いだ)く熱風のなか 『想定の』で嘘が強調される。溺れたひとのあたまを抱きたい気分だったが、そういう人がいないので人形に想定をかぶせているのだろう。 『想定』にとどめることで、『溺れたひと』『人形』への…

手紙魔まみ感想105・106

氷からまみは生まれた。先生の星、すごく速く回るのね、大すき。 二つの文章。三句目が七音に字余りしていると考えられる。 二句目までの文は、自身と氷の似た性質や、人間に似たものではない、という意識があるように思われる。自分を持て余しているような…

手紙魔まみ感想103・104

両手投げキス、あのこの腕はながいからたいそうそれはきれいでしょうね 最近、性の話か命の巡りの話というところで連続している。 一句目が変則的に長く、『両手』は冗長な語の追加だが、『ながい腕』に向けての前置きという役割も持っている。二句目以下で…

手紙魔まみ101・102

ありがとうございました。 更新を再開しましょう。休んでいる間に履歴が残っていて申し訳なくなりました。 水準器。あの中に入れられる水はすごいね、水の運命として 水準器は地面の傾斜の具合を図るための器具。 『水の運命』を心配するという視点が焦点で…

手紙魔まみ99・100

それはそれは愛しあってた脳たちとラベルに書いて飾って欲しい 宗教の死後、人間の本体が脳であるとする機運は高まり続けている。生命が停止し、認識が終わった時にも、外部から見れば肉体は肉で、脳は脳である。保存の措置をとれば、それなりに長期間保存す…

手紙魔まみ97・98

時間望遠鏡を覗けば抱き合って眼をとじているふたりがみえる 『時間望遠鏡』という謎の道具が登場し、それを核にして話が進む。時間的なもの、昔又は未来を覗く望遠鏡であると考えられる。『時間望遠鏡を』までで十音、『覗けば』は四音だが、三句目からは定…

手紙魔まみ95・96

それ以上何かになること禁じられてる、縫いぐるみショーとは違う 演劇、ショーは台本の通り演じることが求められるが、それとは「何か」が『違う』と述べている。おそらくその「何か」は人生それ自体のことである。人生はみな舞台という偉人の言葉もある通り…

手紙魔まみ感想93・94

知んないよ昼の世界のことなんか、ウサギの寿命の話はやめて! もうずいぶんながいあいだ生きてるの、ばかにしないでくれます。ぷん 2つに似ている部分があるので共通点とそれぞれを書く方式にしてみる。 「口語、生死、知、拒否」という点が共通している。…

手紙魔まみ感想91・92

完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ 三句目が『ドライアイスに』が七音で異形と考えることが最もスムーズな解釈だろう。ドライアイス、固形二酸化炭素はアイスクリームを購入したときに、一時的な保存のために付属するなどで手に入る。…

手紙魔まみ感想89・90

1、2、3、∞(たくさん)はアフリカって(悪口ね)、まみはアフリカ、なにもいらない 『∞(たくさん)』が『アフリカ』という悪口であり、自分もそれであるという。アフリカは広範な地域にわたるが、後進国という印象が受けられる場所である。『たくさん』…

手紙魔まみ感想85・86

アイ・ラヴ・エジソン、アイ・ラヴ・エジソン、川沿いの径(みち)を小さな水車抱えて 前半部は大きく乱れているが、後半部は五七七で読める。 エジソンは偉大な発明王であって、電気をはじめとしていろいろやっている。現代人にとってとても大切な偉人であっ…

手紙魔まみ感想83・84

ティーバッグ破れていたわ、きらきらと、みんながまみをおいてってしまう ティーバッグが破れ、中身が流れ出してきらきらと輝いている、新しくお茶を入れなおしている間、自分は会話に入れず、取り残されていくのではないか、という不安を感じている。 ティ…

手紙魔まみ感想81・82

真夜中のなっとう巻きは太るってゆゆが囁く、震える声で 『なっとう』がひらがなで『囁く』『震える』が漢字であることは、会話文と地の分の差だと思われる。会話文と地の分の区切りが『って』であり、視覚的に目立つ読点にそのような役割はない。 倒置法、…

手紙魔まみ感想79・80

昭和基地の床に散らばるトランプのキング、クイーン、その付け睫毛 昭和基地は北極の調査基地である。娯楽が少なそうでトランプをやってそうという想像は特に突飛なものでもない。キングやクイーンもいるだろうしあの絵柄は確かにつけまつげだと推測出来る。…

手紙魔まみ感想77・78

兎の眼を通じてまみのSEXが宇宙に実況中継される 『兎』は何かをする対象、奉仕相手のようなものだった。兎自体の意思などは少なかった。ここでも兎は物扱いであって、それ自体の意識は認められていないことは同様である。兎が見ているではなく、それを通…

手紙魔まみ感想75・76

ライヴっていうのは「ゆめじゃないよ」ってゆう夢を見る場所なんですね 現代における、あらゆる創作活動やパフォーマンスは、その場しのぎの過剰快楽注入装置へと堕落していることを表現している。『ライヴ』の観客とパフォーマー、両者が『夢を見る』ための…

手紙魔まみ感想73・74

このばかのかわりにあたしがあやまりますって叫んだ森の動物会議 三句目が『あやまりますって』と促音を除いて七音と長い。そこまでは平仮名で会話文。 『動物会議』会話文、つまり人語として『森の動物会議』の状況設定の中で『ばかのかわり』に、『叫んだ…

手紙魔まみ感想71・72

ヒ・ケ・ン・シャ・ニ・ナ・リ・タ・イ、手足こめかみに電極つけて、ツリーみたいに カタカナ、中点によってリズムの否定を試みている。それを無視すると『被験者になりたい』であり、音の違和感はなく、意味も普通に通る。 人ではない何かの身分を外部から…

手紙魔まみ感想69・70

眼ってのは外に出てきた脳なんですってね。感心しました、脳か。 突飛な説を当然のことのように述べているというか、突飛であることに驚きつつも、素直に受け入れているところに違和感がある。口語調や句読点が当然に了解する心情をあらわし、内容とそれを受…

手紙魔まみ感想67・68

美容師の森ひまわりを花に譬えると、ひまわり(譬えてねーよ) 『森ひまわり』氏が普通に実在の美容師だった。 本当に何も内容がないといえる。に二重になっている部分がほとんどである。『森』と『ひまわり』の時点で自然が被っているのだが、『花』二度目…

手紙魔まみ感想65・66

ドアの前で眼が合ったときこの部屋に入りたそうにしてたゴキブリ 『ゴキブリ』への心情移入が中心になっている。害虫として以上におそれられ、憎まれる対象だ。死や事故が遠くのものとなりつつ現代における、身近な恐怖の一つといえるだろう。 それに対して…