2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧
月よりの風に吹かれるコンタクトレンズを食べた兎を抱いて 『よりの』は『からの』の意味。『コンタクトレンズを食べた兎』はコンタクトレンズをなくしたことを「ウサギが食べてしまった」と結論した、という内容である。ウサギが現実の存在であるかどうかは…
出来立てのニンニク餃子にポラロイドカメラを向けている熱帯夜 『ポラロイドカメラ』はいつかの短歌にも登場したインスタントカメラである。デジカメによって時代遅れとなって衰退した。やや昔の人間には懐古感のようなものを湧き立たせる作用を持つのかもし…
天才的手書き表札貼り付けてニンニク餃子を攻める夏の夜 引っ越し後、表札を貼り、料理に取り掛かっているという様子。『ニンニク餃子』に関して、食べている最中だとも考えられるが、後の首を見ると料理中だとみるのが正しいように思える(二つ次、次回)。…
妹のゆゆはあの夏まみのなかで法として君臨していたさ 他人とあまり関わりたがらない人間の親しい人というと家族になりますが、その内でも年齢の近い方が親しみやすく、自己肯定感がないことから相手に依存したり、被支配状態になることを望んだりする。年齢…
ほむらさん、はいしゃにいっていませんね、星夜、受話器のなかの囁き 会話文部分がひらがなで、地の分は漢字。やや一般的でない『星夜』がリズムや雰囲気のために採用されていたり、『囁き』という難しめの漢字が使われている。『なか』はひらがなだが、接続…
<自転車に乗りながら書いた手紙>から大雪の交叉点のにおい 単純化すると「手紙からにおい」という内容であり、この時点で詩的ではあるが、現実味には欠ける文章。全体では『手紙』と『におい』を修飾する内容だが、そのどちらも全体と同じで、詩的に偏った…
それはまみ初めてみるものだったけどわかったの、そう、エスカルゴ掴み 『まみ』という言葉があるが、これは一人称で自分の名前を一人称として使うような人物である、ということになる。全体として口語の話し言葉で、助詞が省略された読みにくいものになって…
恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死 ひたすら『恋人の』を繰り返した後『死』という単純な形をしている。音を重視して読むと「コイビト」「コイ」「ヒト」の三つから構成された短歌としても取れるが、意味のない文字の羅列になる、四句目五句目間の「の…
まず、タイトルだが、五七五で、川柳というか、短歌の上の句の形である。『まみ』という固有名詞を持つ人物が主役の短歌集で、 手紙が好きであることから、対人コミュニケーションより筆記を通すような間接的な物を好むように見える。引っ越しから生活環境を…
明日は多分短歌書きます 世界平和未来は明るい希望宇宙富名誉幸福最高善金銀財宝隠された宝隠蔽された真実途絶えた王族不当な弾圧覆される治世弱者の雄たけび正当防衛トーテミズム諸民族の独立民族自治解放自由無限瞑想虚無空白空洞産めよ増えよ地に満ちよ乳…
高速道路の水たまりに口づけてきみの寝顔を思う八月 『高速道/路の水たまり』という六音の字余りから始まり、このあたりの歌の共通点。『高速道路の水たまり』は決して触れることのできないもののように登場し、これまで描かれていたが、この歌ではそれに口…
みずたまりに波紋拡げて溺れてるミクロサイズのイエス・キリスト 主体が水たまりの波紋に気が付き、その発生源は溺れてもがくイエス・キリストであるという説を唱えている、という内容。「水」「イエス・キリスト」というと、湖を歩いた奇跡が思い起こされる…