巣/人生の意味/植毛

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2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

手紙魔まみ感想57・58

ストラップに鎌倉彫のウサギあり こいつはまるでおかきのようだ 『こいつはまるで~のようだ』から刑事ドラマのセリフが想像された。熟練の刑事が言ってそうであるという気がしたのである。前歌の『指名手配の』が影響していることもあるだろうが、そうでな…

手紙魔まみ感想55・56

残酷に恋が終わって、世界ではつけまつげの需要がまたひとつ 『恋』という個人でありながら重大なものの終わりを強調するために『残酷な』という強力な形容詞による補強と『世界では』という問題を拡張が使われている。『つけまつげ』は装飾品であり、購入し…

手紙魔まみ感想53・54

左から、宇宙スカート、プリンスカート、色盲検査スカート、まみ作 スカートが並べられているという描写は、前回から続くデパートの風景を思わせる。宇宙は前回の最終的に『月』に向かったことと関連する。『プリン』は食という貨幣交換で満たしやすい欲望と…

手紙魔まみ感想51・52

清潔なベッドの上でコンビーフの巻取り鍵を回してあげる コンビーフは肉を高温高圧で処理した缶詰で、巻取り鍵はコンビーフのあけ口として伝統的に使用されている、ということらしい。大体わかってはいたが実際見たことはない。世代差なのだろうか。 コンビ…

手紙魔まみ感想49・50

幸福な王子の肩に従順なツカイパシリの鳥がいたこと 『幸福な王子』はオスカーワイルドによる教訓小説だが、機械仕掛けの神でいきなり彼岸においての価値が示されることにシュールな面白味を感じる。元々金の像と鳥が会話している時点でかなりメルヘンで、そ…

手紙魔まみ47・48

帽子たち、まみを守ってください。と深爪姫の星夜の祈り 句点、読点があるが、それなりに落ち着いている。前歌では句読点自体が注目されるほど異様に目立っていた。ここでは小説中の文章の程度で、目立つほどではない。下の短歌では三句目でいったん文が終わ…

手紙魔まみ感想45・46

発熱の夜のゆめから溢れ出す駅長さんの飼う熱帯魚(ステーションマスターズ・グッピィ) 『ゆめ』と歌中にあるように、幻想系統の短歌である。高熱でうなされることで夢の現実感が増し、現実に映し出されようという様子。『駅長さんの飼う熱帯魚』も『ステーシ…

手紙魔まみ感想43・44

ローズヒップを「ばらのおしり」とおもってた 兎が囓ってしまったおしり ローズヒップはバラの果実。茶に使ったり食用油にしたりジャムにしたり。「ヒップ」が「バラの果実」を意味し、尻のことは関係ないとウィキにある。 『アサツキ』などでもそうだが、単…

手紙魔まみ感想41・42

いもうとをやめてあなたのともだちになるわって頬はさんでくれる 『いもうと』という立場は偶然の産まれのままに自然と属性としてつけられるもので、そういった意味で自分たちの意思によって結ばれる関係の『ともだち』より下位にあるように思われる。『とも…

手紙魔まみ感想39・40

ホームルーム! ホームルーム! とシマウマの鳴き声がする夜の草原 『草原』と『シマウマ』は見たことのない遠い場所、生き物が想起される。『ホームルーム!』の『鳴き声』はそれとは真逆の身近出会った存在だろう。現在は生徒ではないのでかつてという意味…

手紙魔まみ感想37・38

ゆゆ、あいつとってもアサツキが大事なの、なんにでもふりかけたがる アサツキは葱の一種であり、葱のように薬味として利用する。食用葱では最も細いことが特徴。 二、三句目が妙なので区切り方を考える必要がある。一見『とってもアサツキが/大事なの、』…

手紙魔まみ感想35・36

夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている 大胆な破調、幼さや女らしさを漂わせる言葉遣いなどはなく、そういった意味では普通の短歌であるが、『手紙魔まみ』の中では目立たさられる特徴といえる。 内容は誰にも守られない信号についてである。普段か…

手紙魔まみ感想33・34

つっぷしてまどろむまみの手の甲に蛍光ペンの「早番」ひかる 蛍光ペンでメモ、というとラインマーカーズ最後の連作の一作、『「NASAへ行きます」』の歌があった。寝ている人に急いでいる人がメモをする、という大筋も完全に一致し、二方の対比が主であと…

手紙魔まみ感想31・32

巻き上げよ、この素晴らしきスパゲティ(キャバクラ譲の休日風)を 『キャバクラ嬢』とあるが『まみ』自体に、挿絵などの情報から女性としての自身の性の解放感というか、重要だと感じていないのでは、という雰囲気がある。裸で乳首が隠されていない絵であり…

手紙魔まみ感想29・30

手紙魔まみ、天国の天気図 サムライが天気予報を聞きながら描いた渦巻き、天国は夏 「天国の天気」がテーマのようで、似たものは『ラインマーカーズ』でも見た気がする。『サムライ』を出すことで、天国が死者の行く場所であることを強調する、堅いイメージ…

手紙魔まみ感想27・28

歯医者(デンティスト)にゆく朝などを、永遠に訪れない物の例として 前の短歌と強く関連する2つの要素がある。『永遠に訪れない物の例として』は4つ目の短歌の『永遠的なものの例として』に形が似ており、『歯医者』は9つ目に『はいしゃにいっていませんね…

手紙魔まみ感想25・26

腕組みをして僕たちは見守った暴れまわる朝の脱水機を 『僕たち』が登場する。『まみ』は女性であり、女性らしさをたびたびわざとらしいほど強調していたため、この男性らしさがある一人称は違和感をもつ。複数形であることも紛らわしい。妹ももちろん女性で…

手紙魔まみ感想23・24

ボーリングの最高点を云いあって驚きあってねむりにおちる ボウリングは玉投げ、ボーリングはドリルの穴掘りということを拘る向きもあるが、『最高点』からここでは玉投げを指していると考えられる。 親密な仲でボウリングの点というたわいない話で盛り上が…

手紙魔まみ21・22

世界一汚い爪の持ち主はそれはあたし、と林檎をさくり 自己卑下と林檎を切ることの話。前のフルーツである『苺』と同じように『林檎』が漢字表記であり、他にもカタカナの使われた箇所はない。しかし『あたし』『さくり』などのひらがなは柔らかみがのある語…

手紙魔まみ19・20

本当にウサギが付いたお餅なら毛だらけのはず、おもいませんか? 餅、ウサギの話について語り掛ける口調で読み手に思考を促している。『ウサギが付いた餅』というふれこみの菓子でも持っているのかもしれない。疑問符がついてはいるが、その問い自体には常識…