巣/人生の意味/植毛

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2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

シンジケート感想195・196

金色のコーンの山を胸の前に捧げて戻るサラダバーより 『「こ」んじき』『「コ」-ン』、『「さ」さげて』『「サ」ラダバー』と言った韻を踏んだ構成がある。 『金色』『山』『捧げて』という言い方はやたらに仰々しく、サラダバーからコーンをとってきたと…

シンジケート感想193・194

声がでないおまえのためにミニチュアの救急車が運ぶ浅田あめ 浅田あめは会社名およびその会社の飴。のど飴で有名。 明るいか暗いかでいえば暗いような。手渡しにしないのは喧嘩中などの不和が発生しているのだろうか。自動化への不安感のようなものを感じる…

シンジケート感想191・192

はるのゆき 蛇腹のカメラ構えてるけど撮る方が笑っちゃだめさ 蛇腹とは、山折、谷折の折り返し構造。わかりやすい例としてアコーディオンなどがある。古風のカメラはレンズと本体のあたりに蛇腹の構造がある。 『だめさ』、特に『さ』は男言葉という意識があ…

シンジケート感想189・190

雨は降るおまえにおまえが春の野に草を結んでつくったわなに 『に』の位置やら言葉のつながり方が微妙に紛らわしいが、『おまえ』と『わな』に雨が降る、という内容で『わな』について『おまえが春の野に草を結んでつくった』という長い説明がある。『おまえ…

シンジケート感想187・188

春一番うわさによると灯台であし毛の仔馬が生まれたらしい 葦毛(あしげ)は馬の毛色で、黒い肌に白い毛を特徴とする。 冬を感じさせる歌が多かった「冬の歌」の最後の首。『春一番』に始まり、『らしい』と不確定ながらも縁起のいい『うわさ』が伝わってき…

シンジケート感想185・186

飛び去りし者は忘れよぼたん雪ふりつむなかに睡れる孔雀 睡れるは「ねむれる」と読む。 『飛び去りし者は忘れよ』という、過去のことを思い悩むのはやめよというメッセージ。『ぼたん雪ふりつむ』からはやさしさを感じ、『睡れる孔雀』は落ち着き払った優美…

シンジケート感想183・184

受話器とってそのまま落とす髪の毛もインクボトルも凍る夜明け前 インクは通常対凍性が高い気がするし、髪の毛に凍るほどの水分が通常含まれているように思えないので、「通常凍るはずのないものが凍るほどに寒い」という強調の表現。『受話器』が登場してい…

シンジケート感想181・182

街じゅうののら犬のせた観覧車あおいおそらをしずかにめぐる 『街じゅう「の」「の」ら犬「の」せた』という「の」と『あ「お」い「お」そら』が韻を踏むようになっている。狭い場所にのらいぬを押し込んで、『しずかにめぐる』とは異様な光景だが、韻を踏み…

シンジケート感想179・180

「男の子はまるで違うねおしっこの湯気の匂いも叫ぶ寝言も」 男女が会話していて、女性の発言。男女に違いはいろいろとあるが、ここでは『おしっこの湯気の匂い』と『叫ぶ寝言』に言及している。 そのような湯気が立つところから、冬であると想像される。山…

シンジケート感想177・178

薬指くわえて手袋脱ぎ捨てん傷つくことも愚かさのうち 『「く」すりゆび』『「く」わえて』と、冒頭から「く」によって韻が踏まれている。『てぶ「く」ろ』『傷つ「く」』というところにも存在。 全体的に攻撃的な語が多い。『脱ぎ捨てん』『傷つく』『愚か…

シンジケート感想175・176

終バスに二人は眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて 『<降りますランプ>』が特徴で中心。バスで降りる時に鳴らし、止まってもらうために席の隣についているボタンとランプググると、実際は「止まります」で、降りる客が止まることを表明するとともに…

シンジケート感想173・174

歯を磨きながら死にたい 真冬ガソリンスタンドの床に降る星 空白による区切りがある。五・七・三・九・七?単語の分断があるのは三と四の間だけなので、無理やり音で切って読んでも際立って違和感が起きるほどでもない。 『死にたい』のパワーが高い。それ以…

シンジケート感想171・172

シャボン玉鼻で壊して俺以外みんな馬鹿だと思う水曜 『俺以外みんな馬鹿だと思う』はそれなりに一般性がある感情。時間を表す語はこれまで季節イメージに近いものが多かったような気がする。平日の真ん中である水曜。 『シャボン玉鼻で壊して』がこの歌の特…

シンジケート感想169・170

あっかんべかわせば朝の聖痕は胸にこぼれた練り歯磨き(トゥースペイスト) 聖痕はイエス・キリストの磔刑時の傷、またはそれに似た信者らに表れた傷。後者はキリスト教の「奇跡」に分類されるもので、強い共感や妄想の表れであったり、偽装であったりする。 …

シンジケート感想167・168

冬の歌 眠るピアノ弾きのための三連の金のペダルに如雨露で水を ピアノには足で操作するペダルが三つあり、音を伸ばしたり弱めたりするときに使う。金色はその色として標準的。 一、二句目の『眠るピアノ弾きのための』がよくわからない。音も六、六でずれが…

シンジケート感想165・166

浴槽に鳴っているのは黄緑の栓につながるみじかい鎖 ただそのままの情景描写をしたというだけのような内容。生き物も何もないので、寂しさが伝わってくるというか、それ以外に特にない。ひたすら無味という感じ。『黄緑の』『みじかい』などは特に不必要な情…

シンジケート感想161・162・163・164 と少し

嘘をつきとおしたままで眠る夜は鳥のかたちのろうそくに火を 『嘘』『鳥のかたちのろうそく』 『火を』は罪滅ぼし的な意味合いで行っているのか?よくわからない。 「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて 『「まだ好き?」』『滑り…

シンジケート感想159・160

塩粒のような星の群れを笑う 髪まで地に繫がれしガリバー ガリバーとは『ガリバー旅行記』のガリバーだろう。『地に繋がれし』から小人の軍隊に捕縛されたところを指しているとみられる。 危険な巨人として縛られて『髪まで』とあるように首を回すことすら封…

シンジケート感想157・158

糊色の空ゆれやまず枝先に水を包んで光る柿の実 人間や動物がおらず、風景と植物の描写のみ。空でも眺めたいような気持ちなのだろう。 『糊色の空』は曇り空について指しているのだろう。『水を包んで光る柿の実』という視点が独特。 手をつなぎ眠る風の夜卓…

シンジケート感想155・156

こわくなることもあるよと背を向けたまま鳥かごの窓を鳴らして 『こわくなる/こと』、『背を向けた/まま』というように、音の切れ目に重要な語があり、意味が一瞬間違って伝わる。前者では『こわくなる』のが作中主体に読めるが、実際には作中主体は誰かを…

シンジケート感想153・154

「愚か者の惑星(ほし)からきたの?」ウオーターグリースに浮かぶ気泡みつめて ウオーターグリースは髪のセット剤。 誰への問いかけか。気泡に自分の顔が映っているのだろうか。『愚か者の惑星』は独特の言い回しである。あまりの異質さに、自分と同族ではな…

シンジケート感想151・152

甘栗の匂いに二人包まれてゆく場外馬券売り場まで 三句目から五句目において、意味と音の切れ目があいまいでつかみにくい効果になっている。『ゆく』が無しでも何となく意味がつかめるにもかかわらずはめ込まれているために全体にバランスが崩れている。『場…

シンジケート感想149・150

抜き取った指輪孔雀になげうって「お食べそいつがおまえの餌よ」 孔雀は雑食性で、口に入る大きさならば昆虫、両生類、爬虫類となんでも食べ、野菜も好む。 指輪は、おそらく大切な人からの贈り物だったものだろう。その関係の解消から、指輪が無用になって…