巣/人生の意味/植毛

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2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ラインマーカーズ感想108・109

入道雲に向かって足を投げだして天才蟻の話をしたね 『入道雲』『天才蟻』といった自然が中心にあり、『したね』という親しみを込めた口語が思い出という感を出す。『雲』『足を投げだして』『蟻』など自由でのびのびとした感も高い。 「自然」「思い出」「…

ラインマーカーズ感想106・107

まぼろしの父を想いて羚羊の純白の胸にむけるリモコン 羚羊はオリックス、ヌー、カモシカなどの総称。ここではカモシカか。 『想いて』は父にリモコンをいじる癖があったのか、羚羊に父が似ていたのか。羚羊が珍しい生き物であることと『まぼろし』がかかっ…

ラインマーカーズ感想104・105

讃美歌を絶叫しつつゆらゆらとスーパーマンが空をあゆめり 「スーパーマン」は物理的腕力によって人々を救済する存在。その彼が『讃美歌』という神を讃えるために『絶叫』している。『ゆらゆら』『あゆめり』という語から疲れているような雰囲気があり、疲れ…

ラインマーカーズ感想102・103

セロテープで直した眼鏡を掛け続けクラスメートを愛するタイプ セロテープで眼鏡を直すという行為は、眼鏡屋で直すという手段をとらない点では横着であり、新しくしない点ではケチであり、まともでない直し方である点からは不器用であるという印象。それを平…

ラインマーカーズ感想100・101

俺の眼を覗く警察官の腰周りに黒いものがいろいろ 『眼』で思い出すのが仔猫、寄生虫の歌で、ドラックの雰囲気があるものだった。こちらも警官から何かしら疑いを持たれている様子であり、目の焦点が定まっているか見ている、ドラック関連であると解釈した。…

ラインマーカーズ98・99

にょにょーんとピザのチーズを曳きながらユダとイエスのくすくす笑い 『ピザのチーズ』と『ユダとイエス』のアンバランスが特徴。身近な食べものと遠い昔の異国の偉人。ともに外国のものだが『ピザ』と『イエス』らに直接の関係はなかっただろう。Wikipedia…

ラインマーカーズ感想96・97

妹のイニシャル入りのバファリンを噛み砕く、うウ、をレのよりキくッ 後半部で急激に変化が起こり、ひらがなとカタカナの混在する奇妙な表記になる。句点や促音によって、切れ切れに言っているように見える。『バファリン』は通常は解熱鎮痛剤であるが、ここ…

ラインマーカーズ感想94・95

夕闇に溶けゆく ネーブル・オレンジと蠅をみていたあのまなざしは ネーブルオレンジはオレンジの一種。国内でも生産が盛ん。果頂部にへそのようなくぼみがあることが由来。旬は3月から4月。 行動のようなものが『みていた』くらいで、『まなざし』と二十二強…

シンジケート感想92・93

階段を滑り墜ちつつ砕けゆくマネキンよ僕と泳ぎにゆこう マネキンは大きさ、形が非常に人間に似ていて、それが壊れてゆくということ葉人の気持ちに恐怖っぽいものをもたらすものがある。『泳ぎにゆこう』という呼びかけは実際マネキンが泳ぐことができないこ…

ラインマーカーズ感想90・91

抱き合えば夜明けの床に蝿と蝿叩きのジグソーパズルばらばら 三句目からがこの歌の個性であり『ばらばら』が種明かしのようにもなっている。三句目、四区目の間の『蝿叩き』と『ジグゾーパズル』と二重にだますしか怪我されていて、言葉の意味が散らかってい…

ラインマーカーズ感想88・89

このあろはしゃつきれいねとファーブルの瞳(め)で告げたるひとよ やたらひらがなを使って話す『ひと』が登場。『ファーブル』のようなとは、好奇心が強く伝わってくるような態度ということだろうか。『このあろはしゃつうきれいね』は表面的には会話のつな…

ラインマーカーズ感想86・87

日溜りにピアノの椅子を持ちだして「ねぐせあたま」と題する素描 素描は平面画のことで、カタカナで言うとデッサンのことである。 平たい椅子について「ねぐせあたま」と名付けるのは全く筋に合わないことである。自分の作品への命名なのだから、大いに勝手…

ラインマーカーズ感想84・85

素はだかで靴散乱の玄関をあけて百済の太陽に遭う 百済は過去朝鮮半島を治めた国で、国の意識が出てくる。太陽は日の出ずる国といって古代日本で強く意識されたもので、日の丸。裸で散らかった玄関を開け放す行為には反社会感がある。 「反社会」「乱れ」「…

ラインマーカーズ感想82・83

山脈を超える新型大砲を抱いて微笑むミス・ナチス・ドイツ 強力な兵器、魅力的な女性、近代最悪の独裁と虐殺を行った政府。どれも非常に惹きつけるものではある。 「兵器」「女性」「COOL」 ペンキまみれの脚立に立って恋人の致命的欠陥を想えり 『ペンキま…

ラインマーカーズ感想80・81

日の丸の円周率のうつくしい産医師異国で血に染まりおり 『日の丸』と『産医師』『血』辺りの関連性。医師の白衣と血のイメージが日の丸の白地に赤と相似を示す。『円周率のうつくしい』という感覚は日の丸をナショナリズムと離した場所に置こうという試みな…

ラインマーカーズ感想78・79

抱き起す自転車のカゴゆがんでる 散らばる雲のその下をゆく 自転車のカゴがゆがんでいることはトラブルでもあるが、あくまで日常の範囲内の出来事である。スペース後の『散らばる雲』がそう補完する役割を持ち、前歌の『アトミック・ボム』が想起させるきの…

ラインマーカーズ感想76・77

隕石のひかりまみれの手で抱けば君はささやくこれはなんなの 『隕石のひかりまみれの手』というありえない物を登場させる前半と、それについての質問をする『君』の後半という構造。行動する主体と困惑する君は対比状態でもある。『ひかり』という語に伴う明…

ラインマーカーズ感想74・75

ねだられて人魚に渡す襟章はとどろくはるの潮騒のなか 襟章は襟に付ける勲章。 『人魚』が登場している。これまでの話し言葉の中と違って実際に生きた形で、人物の一人として当たり前のように現れている。前半で襟章をねだる様子、後半部ではそれとともに瞬…

ラインマーカーズ感想72・73

「腋の下をみせるざんす」と迫りつつキャデラック型チュッパチャップス キャデラックはGMの高級車ブランド。カタカナの固有名詞というこれまでに連続していた方式が出ている。チュッパチャップスはスペインで生まれた飴、日本では森永製菓が販売。こちらはキ…

ラインマーカーズ感想70・71

二種類の涙光れりポラロイドカメラのように不思議な夜に ポラロイドカメラはポラロイド社の開発したインスタントカメラ。ポラロイド社はデジタルカメラへの急速な移行によって、2001年に経営破錠した。 『光れり』は古語的な言い方。『り』は完了の助動詞で…