シンジケート感想159・160
塩粒のような星の群れを笑う 髪まで地に繫がれしガリバー
ガリバーとは『ガリバー旅行記』のガリバーだろう。『地に繋がれし』から小人の軍隊に捕縛されたところを指しているとみられる。
危険な巨人として縛られて『髪まで』とあるように首を回すことすら封じられたガリバーにできることは、ただ空を眺めることであった。星々は巨人であろうとも以前と同じように塩粒のように見えるということに、おかしみを感じたのでは。
一般教養的な有名な話を用いることで、字数の制約内に多くの情報を入れることに成功している。
雨の中でシーソーに乗ろう把手まであおく塗られたあのシーソーに
雨の中でシーソーに乗るということに誘おうとしているが、その理由のようなものは全く描かれていない。その説明に充てることができるであろう三句から五句はシーソーが青いということを強調する内容になっている。
その理由となる内容は触れたくもないようなことなのか、二人の間では自明であり、触れる必要がないと判断されたからなのか。個人的には前者であり、『雨の中で』という、通常では屋外に出ない環境でシーソーして忘れようとしているのではないか、と思うが、根拠はない。