シンジケート感想151・152
甘栗の匂いに二人包まれてゆく場外馬券売り場まで
三句目から五句目において、意味と音の切れ目があいまいでつかみにくい効果になっている。『ゆく』が無しでも何となく意味がつかめるにもかかわらずはめ込まれているために全体にバランスが崩れている。『場外馬』は日本語として奇妙だが、『券売り場』は存在しうる言い回しであることも原因。一句目二句目で『匂い』という視覚的には判断できず、像としてイメージしずらいものに『包まれて』という内容であることにもあいまいさがある。
くちうつしのホールズ光る地下鉄の十色使いの路線図の前
ホールズはモンデリーズ・インターナショナルが製造・販売するキャンディ。
『地下鉄』の『路線図』は確かに多くの色を使って示されてはいるが、それはただ機能性を向上させようとして結果であって、生活に彩を、という方向での色ではない。そういった無機質なものと『くちうつしのホールズ』が対比になって、淡々としながらも輝かしいものになる。