シンジケート感想187・188
春一番うわさによると灯台であし毛の仔馬が生まれたらしい
葦毛(あしげ)は馬の毛色で、黒い肌に白い毛を特徴とする。
冬を感じさせる歌が多かった「冬の歌」の最後の首。『春一番』に始まり、『らしい』と不確定ながらも縁起のいい『うわさ』が伝わってきた様子。季節の移り変わりと同時に幸運の訪れを予感させる。
たぶんエリーゼのために
『エリーゼのために』はベートーヴェンが作曲したピアノ曲。「エリーゼ」はベートーヴェンが恋した相手だったらしい。有名な曲で、ピアノを趣味にする者の目標としても丁度いいらしい。
逆立ちの足首支えながら見る春のセスナの撒くソノシート
ソノシートは薄さ、安さが特徴のレコード盤。
セスナは金持ちの持つ小型飛行機であり、セスナ、ソノシートに対比がある。金持ちがばらまき、施しをしている様子を、作中主体は『逆立ち』の練習に付き合いながら見ている。自分はまかれるソノシートに群がるほど卑しくはないが、視界に入り込んでしまったのを無視できるほどに達観していられもしない、という状況。
『春』にセスナの持ち主は浮かれているのだろうが、作中主体にとっては気にするほどのことでもないらしい?