手紙魔まみ感想87・88
手紙魔まみ、完璧な心の平和
見たこともない光沢の服を着た人間たちが溺れる夜だ
『見たこともない』は当然『光沢』にかかるわけだが、『人間たち』にもかかるように錯覚する。『光沢』は光方の表現であって、『見』る以外に知覚されるはずがないので、人間を見たことがないということも同時に成立している。
最後に時間で締めることはよく見られることなのだが、『溺れる』という恐ろしい事象を淡々と説明することで迫力を出している。自分はその人間たちの中に入れなかったという表明もある。
「観察」
お医者さんと結婚してると信じてる、何十年もかかる治療を
上の句が『治療』の説明である。妄想に取りつかれて、入院自体が妄想の一部になってしまっているのだろう。医者は優れた地位、能力、財産を持っていて、玉の輿というドリームが詰まっていそうに見えるのだろう。
上記の歌と違う点はこの歌で危害を受けている人間はひとりで、時間が長くじっくりとした悲劇だが、自分は客観視の位置にいようとしているのが共通である。
「信」「治療」