ラインマーカーズ感想130・131
ピアノの調律師が来たよ、と云いあってシーツの中で息をころせり
『シーツの下』で、じゃれるなりセックスなりをしている様子。句点はひそひそと話し合っている様子の表現だろうか。『云いあって』から両人が盛り上がっているように見える。
一、二句目では『ピアノの調/律師が来たよ』という風に句の途中で切れる。
数歌後にも調律師が出てくる歌があるので、それと合わせて読む必要がある。
「セックス」「仲」「ピアノ」
暗黒を切り裂く宇宙船のなかで暖めている子猫のミルク
二句、三句の間に『切り裂く宇宙/船のなかで』という切れ目がある。
あたためるは暖と温の漢字があるが、前者は体全体で感じる環境的なもの、後者は指など一部分で感じられる部分的なものに対して使うことが一般的であり、ここでは一般的には温が使われるべきところで暖になっている。スケールを大きくとらえたがっての選択?
ミルクを暖める行為自体は家庭的だが、子猫のためのものである。宇宙船とあり、宇宙での実験動物が想定されていて、仕事としての行為になっている。『宇宙船』は壮大で力強いものとして描かれた後、その内部でのこまごまとした仕事。
宇宙船というかNASAがこの後の歌でキーワードとしてたびたび登場することも重要。
「宇宙」「壮大」「家庭」「仕事」