巣/人生の意味/植毛

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ラインマーカーズ感想128・129

恋びとの腋剃りあげて口づける夜明けのなかに夏が来ている

 

 恋人との生活の様子と、世界の時間が過ぎていき、季節が変わっていくということを描写している。『腋剃りながらくちづける』と慣れを感じ出していて、自然にそういった状態へとなったというような描写で、『夏がきている』と完了形で季節の変わっていることを今知覚した、というような変わり切ってしまってから初めて気が付いた、というような言い方。『明け方』も夜から朝への移り変わりである。

 二人の関係もまた、気が付かないうちに別の方向へと変化するのではないか、ということが暗に示されているが、その内容が良い方か悪い方か、といった部分では不明?

 「慣れ」「変化」

 

 

 

歯ブラシの群れに混ざって立っているコップのなかの貴方と私

 

 『歯ブラシの群れ』は安い歯ブラシを大量に買っておいて使い捨てていくのか、恋人以外とも共同生活をしているのか。

 『貴方と私』も実際的には歯ブラシなのだろうが、それらは作中主体の視点からは『貴方と私』という特別な存在になっている。人間としても客観的には群れの中の一人にすぎないが、個々人にとっては特別な存在である、という主張の比喩的な表現。悲観的な立場ではなく、二人で相互に特別であると認め合えることを素直に喜んでいる。

 前後の歌から二人が恋人関係であることは読み取られ、『歯ブラシ』『コップ』といった生活的な備品をモチーフとすることで満足な日常を送っているであろうという推測となる。

 

 「特別」「生活」「幸福」