シンジケート感想133・134
空転の車輪しずかに止まっても死につづけてる嘘つきジャック
空転は車輪の空回り。空転の車輪は車輪刑を指していると思われる。人間を車輪に括り付けて回転させることで、遠心力によって体が引き裂かれる。カタリナという車輪の拷問を受けた成人にちなんで、カタリナの車輪とも呼ばれる。嘘つきジャックはアイルランドの民話のジャック・オー・ランタンの伝承に出てくるジャックのことだろうか。悪魔もだます嘘つきで、死後も地獄に行かないように契約したが、天国に入ることもかなわず、提灯を持って現世をさまよっている。この提灯はカブで、ハロウィンのカボチャの元ネタになっている。
ジャックは日本語での太郎のようにも使われるためジャック・オー・ランタンを指していると特定できるわけではない。その一例として、イギリスの猟奇殺人事件の犯人の呼び名、切り裂きジャックがある。
『嘘つき』の罰として処刑器具に取り付けられて殺され、止まってからも『死につづけてる』。『死につづける』ということは生き返ることと死ぬことを繰り返している、といったニュアンスを含むが、そういった刑罰は地獄の責苦としてはメジャーというか、当然ではある。ジャック・オー・ランタンではないのかもしれない。器具が止まった後も、バラバラになった体に息を吹き返したり死んだりし続けているのか。
直接には拷問・処刑器具という語はないが、『死につづけてる』に引かれすぎた。『止まっても』という前の言葉も相まって含蓄感がある。
フルエアロ
風の馬たちをみてるか棒パンで編まれた籠に腕を通して
フルエアロは車の備品。棒パンは棒状のパン。串刺しにしている場合もある。
中途半端な位置に『たち』があり、平仮名。達と解釈。
三句以降が解からない。『棒パンで編まれた籠』は下手に作られた籠か?
風のように走る馬達、競馬を見ているのだろうか。