巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想93・94

知んないよ昼の世界のことなんか、ウサギの寿命の話はやめて!

 

 

もうずいぶんながいあいだ生きてるの、ばかにしないでくれます。ぷん

 

 2つに似ている部分があるので共通点とそれぞれを書く方式にしてみる。

 「口語、生死、知、拒否」という点が共通している。拒否に関して口語が効果的に使われることで、親しみを感じさせられ、こちらに非を感じさせるような、強引ではない立場を装って騙すような手口で拒否をすることに成功している。かつ、生死や知の範囲という重い話を口語で、深い思慮ではなく、幼稚で親しみやすい場所から言及しようとしている。

 

 93では、『昼の世界』という『世界』のくくり方が現れているが、『ハロー 夜。』の歌との関連を感じさせる。あれは、夜に上機嫌になる作中主体であったが、『ハロー』が本来あるべき『昼』には作中主体は馴染めない気分を感じて、拒否、拒絶を叫んでいる。

 また、『ウサギ』という愛玩物が死んでしまうということにも、拒絶反応を示している。人が死を拒絶するのは、それが受け入れがたいのに、決して逃れられないことを本能的には知っているためである。拒絶には、知っているが受け入れたくないという姿勢が表れているのだ。『昼の世界』と『ウサギの寿命』の二つは、耳をふさいでしまいたい話題なのだ。

 

 94では、自分が知っていることがすべてであろうという姿勢、自分が『生きて』、経験した範囲での知を無制限に拡大することで、経験外のすべてを茶化してごまかしてしまおうという魂胆を持った表現だろう。それが子供らしい反応でしかないことを自分でも了解して、わざとらしい口語、読点、『ぷん』などを配置しているが、それらは『ながいあいだ生きてる』という長期間ゆえの経験量、知識量という土台に、真っ向から矛盾する。自己批判を拒否するような、全てに価値がない、ゆえにこの見識自体にも価値がない、と言いたいがような。