シンジケート感想191・192
はるのゆき 蛇腹のカメラ構えてるけど撮る方が笑っちゃだめさ
蛇腹とは、山折、谷折の折り返し構造。わかりやすい例としてアコーディオンなどがある。古風のカメラはレンズと本体のあたりに蛇腹の構造がある。
『だめさ』、特に『さ』は男言葉という意識がある。デート中、作中主体が撮られる方?
手はつながずにみるはるのゆきのなか今日で最後のアシカの芸を
これも『はるのゆき』がある。三句目までは音と意味の切れ目が一致しないが、音数は十七音。漢字が『手』のみであることも紛らわしさの一因になっている。
『アシカの芸』が『今日で最後』となるのはなぜか。『手はつながずに』とあることは、通常は手をつないでいたのに、今回はつながず、これが最後となる、ということを表す。このことから別れる前の最終デートと予想。
悲壮感がことさら強調されているわけではないが、前首の無邪気さとの対比にすることでの協調がされている。『はるのゆき』という同じ語を使うことで、対比を促している。