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シンジケート感想141・142

「メイプルリーフ金貨を噛んでみたいの」と井辻朱美は瞳を閉じて

 

 メイプルリーフ金貨はカナダの金貨。非常に純度の高い金でできている。金貨を噛む行為は昔、取引の際に純度を確かめる目的で行われていた。オリンピック等でメダルを噛むパフォーマンスは定番だが、品位に欠けるなどの声もあるらしい。純粋な金はやや柔らかいので、噛むと形状が変化する恐れがある。井辻朱美歌人穂村弘も所属する短歌同人誌「かばん」の創刊メンバーの一人。

 上記のメイプルリーフ金貨の情報を参考にすると、『メイプルリーフ金貨を噛』むというのはとても贅沢な行為であることがわかる。国家が発行するのだから純度について危惧する必要性はなく、形状が変わると価値が落ちるだろう。また、噛んで値踏みするというのは品のない行為でもあり、特に女性の場合は遊女を連想させるらしい。

 そのようなタブーを犯すことについて、平凡な話し言葉で、「瞳を閉じて」語る様子はかえって真剣みを帯びたものとなる。先輩にあたる人間の固有名詞を用いていることについては、私が井辻朱美穂村弘に詳しくないのでパス。

 

 

 

 『瞳を閉じて』から平井堅の曲が浮かんできてしょうがないのだが、あの歌の方がこの首よりも後なので関係ない。母親が車で流しまくっていたので頭にこびりついてしまっている。

 

 

 

 

プルトップうろこのように散る床に目覚めるとても冷たい肩で

 

 プルトップは缶の飲み物を開ける時に指をひっかけて持ち上げ、逆側をてこで押し込んで缶を開くアレ。これを集め、募金して車いすにしたりする活動がある。

 『プルトップ』が『散る床』はごみを片づけてないということなのだろう。『うろこのように』から大量に散っているさまが想像される。一人暮らしであり、訪問者もいないという状況だろうか。そこで『とても冷たい肩で』『目覚める』。順序を逆にすることで強調になっているうえに『とても』という安直な形容詞。実際的な意味と、心理的な孤独といった意味が重ねられている。