巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想201・202

シャボン玉でつくった豹は震えながら輝きながら五月の森へ

 

 不安をあおりながらもなんとかなる予兆、的。最近ずっとそういう感じが続いている。『五月の森』という春、初夏季節。『シャボン玉でつくった豹』はフィクション的で、脆さを感じさせる。『震えながら輝きながら』は三句目を六音にしてでも、『ながら』を反復することを優先している。『ながら』の反復は通常の日本語としては避けられる表現で、あえてそれを選択するのは、狙いがあると考えるべき。虚構性の強調?

 

 

アルキメデスのように駆けだす淫売は肩にシャボンの泡のせたまま

 

 アルキメデスは古代の科学者で、自分が浴槽につかっているときに浮力を発見し、その姿のまま駆け出した、という話をもとにしているのだろう。

 『シャボン』がまた出てきているが、ここでは風呂に入っていた『淫売』の付着物としてで、脆さや虚構というイメージは浮かびにくい。

 『アルキメデス』は風呂から駆け出したといっても賢者であり、『淫売』とは真逆の人物と言える。一句目が八音というとびぬけた音数で、その後は何事もなかったように定型。『方にシャボンの泡のせたまま』は『淫売』の汚らしいイメージにそぐわず、詩的な美。冗長で、強烈なインパクトが落ち着いていき、落ち着きのある終わり方。緩急のリズムが独特。