巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想121・122

自転車の車輪にまわる黄のテニスボール 初恋以前の夏よ

 

 自転車の車輪にテニスボールを付ける習慣については、個人的にはあまりなじみがないが、それなりによくあることらしい。バランスのためだとか取り出して遊べるという目的で行われる。

 『初恋以前の夏よ』から回想であるとわかる。『自転車~』が以前の夏の象徴になっているのだろう。

 ほとんど客観的な描写になっているので読み取りの余地がいくらでもある。『自転車』『テニスボール』『初恋』『夏』はどれも爽やかさがあり、青春らしい要素。

 テニスボールは三句目と四句目の間で『テニス/ボール』とまたがっている。また、その後に空白があり、意味上の切れ目を強調している。回想であることを強調して、過去との断絶感を強めている?

 

 

女の腹なぐり続けて夏のあさ朝顔(べんき)に転がる黄緑の玉

 

 男子の立小便用便器を朝顔と呼ぶ。花の朝顔に似ていることからのようだ。

 『夏』という語が続いているが、この『積乱』は夏がテーマになっているらしい。

 暴力、性、便器、気味の悪い色の玉と、おどろおどろしいものが連なった首。

「黄緑の玉が排泄物に混ざって出てきた場合は不健康のサイン」的な情報はいくつかあった。ここでも『なぐり続けて』に続く不健康さとしてのものだと思われる。『女』に続いているのが『朝顔(べんき)』であることから女が男子トイレで暴行を受けているように読み取れ、なぐり手が男だと推測できる。

『なぐり続けて』という言い方から作中主体が暴行したように見える。夜通し続けて『黄緑の玉』が転がるまでに殴るという行為に及んだ理由などは示されていないが、少なくともどちらかに問題があったらしい。