巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想115・116

「吼え狂うキングコングのてのひらで星の匂いを感じていたよ」

 

 キングコングはアメリカの特撮映画、またはその中に登場する巨大なゴリラ。島から連れてこられて見世物にされるが鎖を引きちぎって脱走し、島で仲良くなっていた女性と遊んだりなんだりして最後は飛行機に打たれて死ぬ。大ヒットして続編や類似作がいろいろある。

 この短歌はキングコングと遊んだ女性の発言という形である。キングコングと女性は恋人という関係ではないだろうが、キングコングが心を通わせた唯一の人間だったようである。キングコングが女性を片手にビルを昇るシーンが有名であり、そのあたりのことを指している。そこで『星の匂いを感じていた』とある。

 星は遥か彼方にあり、匂いを嗅げるものではない、つまり匂いなど嗅げない、と考えてしまうが、実際には触れられる星が一つだけある。地球である。この地球も、他の星と同じような星なのだ。身近すぎてそれ故気が付けなというモノだ。

 キングコングの匂いとして想像される匂いは泥臭かったり獣くさかったりするものであろう。しかし、そういった言い方ではなく、星の匂い、と綺麗げな表現をしたのは、キングコングとの体験が恐ろしいだけのものではなかったということ。

 『いたよ』は会話文らしい語尾であり、誰に話しかけているのかという疑問がある。家族、友人、恋人などなど。考えるなら映画もみるといいかもしれない。

 

 

 

「パジャマの片足に両足突っ込んだ罰で彗星しか愛せない」

 

 彗星は氷や塵でできていて、太陽に近づくと大気を噴出し、それが尾のように見える。

 前の首と似て、星が出ている。彗星は標準的な大きさで直径1~10キロであり、地球のような惑星とはずいぶん違うものではある

 彗星も夜が見やすいというところで、パジャマと共通点という見方がある。

 罰が暗い部分で、それ以外の部分は明るいというような内容。『パジャマの片足に両足突っ込んだ』というたわいもないことに『罰』として『彗星しか愛せない』という文面上は厳しいが、実質的には無意味のペナルティを与えられている。誰によってそんなことを言われたのか、という興味がわいてくるところは会話体の効力。