シンジケート感想70・71
「飲み口を折り曲げられるストローがきらい臨時の恋人がすき」
『飲み口を折り曲げられるストロー』はありふれた道具で通常好き嫌いを意識するほどのものでもない。それを『きらい』と述べ、対比して『すき』なのは『臨時の恋人』という全く通常ではありえない物。
『臨時の恋人』に対応しそうな言葉は平時の恋人。その人物が現在『きらい』であり、『ストロー』はその隠喩。ストローが好きな人なのか、ストローに似た人なのか。『飲み口を折り曲げられる』はあまりに都合がよすぎる性質ともいえ、そういった恋人の性質が何か癪に障るという気分なのか?
わがままな猫は捨てよう真夜中のダストシュートをすべる流星
ダストシュートとは、高層建築物に設置するごみ棄て装置。各階で投入されたごみはチューブを通して下に集積される。Wikiを丸々写した。
『猫』はもともと『わがまま』であることが多いが、それをわかって飼ってもうっとおしくなることもある。それでも捨てるといっても段ボールに放り込んで生かしたまま物陰に置いたりするものだ。そういったある種の逃げへの対比として、実際にはそれは殺すのと同じということを『ダストシュート』へ捨てるという短歌。『すべる』間はまだ生きていて、それでも生命の輝きはやがて消えてしまうことを『流星』と例えている。『捨てよう』という言い方のさわやかさもあり、内容に反してほとんど暗さを感じさせない不気味さ。