【短歌】閉架失踪書庫【連作】
ルビ縛りはできないので、()で表現しているのを忖度してください。
ほどほどのワイン、居眠り、ツナサンド↔十字架に到るための口づけ
午前から涼みに行った図書館に八・○六の悲惨な展示
初夏(はつなつ)に産まれた彼は開闢(はじめ)から欲で穢れるために来られた
自分だけ孤独なんだと誤読して栞なくした校舎は遠く
あの人はチェルノブイリが好きだって言ってた、三・一一より前に
ありふれたイベントだった、放課後がこんな風ならよかった、なんて
最初から知ってたことに気がついたなんでもがかわりだらけの日曜
誰だっていいから行ってキリストに『≪私の名前≫を呼んで』と言って
すきだった概念(なまえ)を想う『ああそうか』これがエンドロールなんだね
閉じられた瞼に指をねじ入れて抜けなくなるのを青春と呼ぶ