巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想145・146

おやすみなさい。これはおやすみなさいからはじまる真夜中の手紙です

 

 『おやすみなさい』は別れや切り上げのあいさつであり、真夜中の手紙といっても真夜中に相手が受け取るわけではないのだから、つまり誰かに宛てるわけではなく自己完結としての手紙だろう。ゆっくりした説明、『です』という丁寧語が落ち着いた雰囲気で、平常心であることが感じられ、平常であっても偏執的な行動に妄執しているのは厳しい気持ちになり、さびしくなる。どうしようもないという嫌な実感と確信がある。

 

「丁寧」「独白」

 

 

 

 

めずらしい血液型の恋人が戦場に行っ。て。し。ま。っ。た。悪。夢。

 

 『真夜中』の前歌から繋がり、『悪夢』は「繰り返し」からも連想されていた積み重ねに成り立っている短歌。『恋人』に『めずらしい血液型』という形容を行うことは、特別性、唯一性にとって危ない。一時に一人しかおらず変わりようのない上に本人の意思と全く関係のない偶然に成り立っている要素は、その人物の人格へ関わらない言及だからだ。

また、戦場は『血』の連想にもつながりやすい。輸血しづらい分死に易いということも確かに実利的意味としていっているともいえるが、最終的に『夢』であるというように、イメージ先行で解釈するのが自然だと思う。『戦場行き』は死別のイメージでいいし、もうすでに別れたことを目が覚めて思い出し苦しむところまで含めての悪夢かもしれないし、『恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死』のような歌が序盤にあったことを重ねる方が重要かもしれない。

 

 

 。の異常な連続で間延びする様子は、視覚的にも不気味で終わりがわかりづらいという意味で『悪夢』的、また基本的に歯切りがよいという短歌の特質に反することで印象的になる。

 

「特別」