巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想64・65

卵産む海亀の背に飛び乗って手榴弾のピン抜けば朝焼け

 

 『背に飛び乗って』『ピン抜けば』が作中主体の動き。『卵産む』という『海亀』の説明。つまり海亀は静かに動いていない。作中主体は飛び乗る、手榴弾のピンを抜く、と動いている。特に手榴弾のピンを抜く、はとても暴力的である。そして、そうした結果として『朝焼け』。爆発の明るさが『朝焼け』に現れている。また、亀の産卵は暗い朝方に行われる。

 手榴弾は爆発したはずであるが、そのことは直接書かれず、また海亀や作中主体がどうなったかや、なぜ手榴弾を抜く必要性があったかも全く書かれていない。しかし『朝焼け』の清々しさがそれらのことを追いやっている。

 

 

 

みずあびの鳥をみている洗脳につぐ洗脳の果てのある朝

 

 洗脳は思想や主義を根本的に変えさせること。物理的暴力、精神的圧迫といった強い外圧を用いることも多い。マインドコントロールはある結論へと強制をせず、自分で選択したかのように誘導することで、洗脳とは異なる。

 これも『朝』の歌で、五句で明らかになる点も同じ。『洗脳』が繰り返されて強調されている。『「み」ずあびの鳥を「み」ている』という韻もある。

 『洗脳』が繰り返されることで、それが厳しいこと、長期間続いていることが推測される。この前日の夜も夜通し続く拷問なり何なり受けたのであろうと予想される。その『ある朝』に窓からなんとなく『みずあびの鳥をみている』のだろう。平仮名の多さも洗脳による疲労のせいかとも思わせる。