シンジケート考察37・38
水滴のひとつひとつが月の檻レインコートの肩を抱けば
レインコートの水滴に月が映っているという話。
『水滴の……月の檻』の表現は面白い。決してとらえることのできず、一つしかない『月』に対してすべての水滴を檻に例えることで捕まえようとする。
『レインコートの肩を抱けば』でレインコートを着ている人間と作中主体が別であると分かる。(そうでなくてもレインコートの水滴の一つ一つを着ながら見はできないだろうけど)
肩を抱いたからどうなるのかというところはわからない。全体的に静かなイメージ。
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」
ブーフーウーはNHK教育テレビでやっていた人形劇。1960年~1967年。穂村さんは1962年生まれ。ブーフーウーは人形劇の登場キャラクター3人組のことでもあり、3匹のこぶたをモチーフとしている。長男がブー、次男がウー、三男がウー。
固有名詞を使っているのでそのことを全く知らないとするとかなりわかりづらい。インターネットなしではまず調べる気にならないような情報だった。実際に穂村さんは見ていたのだろうか。見ていなかったとしても語呂に良さはあるし、なんとなくわからなくもない。
『ブーフーウー』の知識を共有していたかという問題もあり、前者がその知識を持っていないとすると後者は前者には分からない言葉で悪口(のようなもの)を言ったこととなる。(ウーは三匹のこぶたの三男なので「くそまじめ野郎」みたいな意味合いを持つ)酔った勢いでのという風な解釈もある。完全会話文で自由という感じもある。