巣/人生の意味/植毛

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シリーズ②

100%フィクションの小説です。予定がバグって悪夢の関係がぼやける。

 

 

 

 後回しにした付けだった。思い通りの史料があるはずの所に見つからず、何時間も探してからきっと図書館に忘れたのだと納得した。結局一~作成すると膨大な時間がかかって、その苦労を経て作成したwordデータが端子内に無い。帰寮してPCを確認。それでも無い。無い。どこにも履歴やバックアップすら無い。必修科目なのに!この単位を取れなければ留年するのでは無かったか?そうすると奨学金は?言い訳じみた延長提出が許されなかった話を聞いたことがある気になって、息が詰まりそうになる。詰まっていた。喉がふさがっていて、口からあふれ出しそうになる泡を飲み込み、

 目を覚ませばよかっただけなのだと気がつく。時刻は6:44。

 くつろぐ余裕はない時間帯で、居心地のいい布団を無理矢理はねとばしながら機敏とも言えぬ速度で支度。間に合わなくはないのだ。手間をかけるような準備は無い。昼間勤務では私の方が出発が早くて、今日はいつもより遅いから朝は会わないのだと聞いていた。

 

 

 工場仕事は退屈で、悩む方向の要素は無い。対処すべき問題は当然にあり、それに対応し尽くせる労力は無い。退屈なのに忙しかった。悩まないのに苦痛だった。なぜこんなにも大変なのか、理由は誰もが分かってて、誰も解決は出来なかった。全てを後手にして対処。全身がつらい。絶え間なく全身を使うから。眠りが浅い。一週間ごとに勤務時間が入れ替わるスケジュール。辞めたい。ここよりも酷くなる事の方が多いよ。ここしか無かった。何もできないと思ってしまったんだ。

 何も悩んでない時間、つまり頭を使わないとき、とりとめもないことが思考を通り過ぎていく。疲れているとそれは先ほど述べたような泣き言になる。なにせ朝はつらいものだ。昼間勤務では金曜以外は毎回こうだ。私は昼食休憩が早めの分担なので11時からになり、それを終えてからの12時~14時あたりなら幾分調子がよくなる。だから考えるのは、初音ミクのことだった。特別な理由がない故に、初音ミクのことを考えることがリフレッシュに繋がるような気がした。私は初音ミクのことを気にしたくなかった。けれど敢えてそうする。それが自由というものだ。私は自由でないのなら、人間であると言えるだろうか。それはロボットで、つまりは初音ミクだ。私は決して初音ミクなどにはならない。私はこんなにも自由になれないことを嘆くことが出来る。酷使される体が苦しんでいる。私は、誰かの望みではない自分自身のためにするべき事をすることが出来る。

 だから私は敗北を認めず、初音ミクの体が溶けてゆく様を幻視する。燃やされることもあった。バラされることもあった。潰されることもあった。埋められることもあった。

 何度も何度も。私の勤務中の、お昼休みの後はいつでも。

 そして、肉体の疲労が限界に達した時。私は全て忘却して、己の苦しみに脳内で不平を言うのだ。終業時刻まで。