手紙魔まみ感想235・236
いくたびか生まれ変わってあの夏のウエイトレスとして巡り遭う
『生まれ変わって』で間接的に死が歌われているようで、全体として明るい印象を受ける。『いくたびか』『生まれ変わって』『ウエイトレス』は繰り返しの効果だが、『巡り遭う』が全体を肯定的にまとめているのだろうか。繰り返しがあり、同じことと違うことをやっていくことを肯定的に歌っているような印象を受けた。
歌集がまとめに入っていることも感じの良さに繋がっているのかもしれない。
「繰り返し」「前向き」
お替わりの水をグラスに注ぎつつ、あなたはほむらひろしになる、と
前歌からつながっているような歌。『お替わりの~』というウエイトレスの仕事をしながら、『あなた』を『ほむらひろし』と呼んでいる。まみは穂村さんをほむほむと呼んだりしていたので、屈折しない呼び方になるのはまみの成長を表すようにも見えるし、生まれ変わって巡り遭った相手として誰かをほむらひろしと呼んでいるのかもしれない。『になる』というのがかなり意識的な言葉であり、人が誰であるかを決める能力を持つものとして自分をとらえていることが、強さのようなものを出している。
「成長」