巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想139・140

まみの生理を食べている怪物が宇宙のどこかに潜んでいるわ

 

 

 生理が来ないことは女性にとって著しく気持ちを害するらしい。性の悩み。穂村さんは男だけれどもまみのモデルは女性。

 『宇宙のどこか』と隅々まで確認することが不可能、曖昧な表現。それを奪う動機として『食べる』という推測へ働かせる、『わ』の口語的表現は幼さを狙うもので、これらの歌全体のイメージに『生理』が一単語で反語として違和感を出している。『生理』及びそれが訪れないことは、成熟した女性の悩みだからだ。『怪物』は悩みの高さを

の深刻さのためである。

 

「幼さ」「成熟」「恐怖」

 

 

 

 

つむってもあけてもまるでおんなじのまっくらやみで手紙を書こう

 

 つむるは文章ではあまりなじみがないが、特に幼児語や方言というわけでもないらしい。目を閉じるときに使う語で、つぶるともいう。

 それでも『まっくらやみ』まで平仮名であることから、幼さを狙った表現だと考えられる。『手紙』を書くという五句目で素に戻っているかのようである。暗いというのは孤独の比喩で、『手紙魔』としてやっていっている状態のことをやや前向きにとらえる短歌。手紙は出すかどうか曖昧だったりすることもある(あとがきから)が、孤独に言及しつつというのは、自分と少しは向き合おうという気持ちがあって、素に戻す漢字なのではないかと思う。

 孤独というのは自分しかいないということであるが、幼さの演出は自己の責任からの逃避で、それをやめ、かつ賢ぶりも過ぎない、普通的な単語の使用。

 

「前向き」「自分と向き合い」