巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想129・130

暗黒の宇宙の果てでさくらんぼの種をお口に入れたまま死す

 

 『宇宙の果て』に『暗黒』をつけるのはそのさみしさ厳しさを強調するため、誰もいない場所で顧みられることなく『死す』様子は当人にはつらいものだろう。さくらんぼの種は喜びの残り香、残骸だろうか。それを口に入れたまま、呑み込みも吐きだしもせず。つまり忘れたくはなかった、異物感が邪魔でも残したままにしたのは懐かしむためかも、未練。

 

「寂しさ」「未練」

 

 

 

ああ、また長女か、いやだなあ。夢の中までも長女はいやでござんす

 

 独り言というか、脳内のきもちのような様子。きもちは短歌の構成要素ではあるが、露骨に露出していると変に思わせる。『夢の中』という単語もあって、夢の中での独り言ということになる。

 その状況で『長女』であることを嘆いている。『長女』は主体が自己嫌悪している特性なのだろう。夢の中にそれが表れるほど無意識化でそれを意識していることが、明らかにされているため、中途覚醒して不満を口にする、それほどに嫌っている。

 『ござんす』の芝居がかかった口調は、自分と意識を切り離そうという試みだろう。この感情自体が嫌いであるあまり、自分の本音であることを独り言ですら隠したいように恥ずかしい、芝居がかった口調よりもずっと。短歌という自己表現の中で何かを隠そうとする意志を表現するのも矛盾であり、直接的に言うのも芸がないので、色々と個性的を狙わないといけない。

 

「独り言」「本音」「照れ隠し」