巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想121・122

夏みかん剝いて笑って まみの上に倒れて英語のうたをうたって

 

 『剝いて』『上に倒れて』などで、食とセックスの類似のイメージを想わされる。『~て』による区切りの連続、『笑って』『英語のうた』など、爽やかな印象が強い。セックスというよりじゃれ合っている。

 『笑って』の後に空白があり、場面転換のようだ。しかし、爽やか雰囲気は途切れるでもなく、何事もなかったように続いていく。最後まで『~て』であり、結末が記されていないところが、最後まで雰囲気に引きずるだけではっきりとした物言いをしないで煙に巻く感を出している。後半は重さや音で『まみ』に強く存在感を示す行動をとっている誰かに、逆に実在感を薄めさせるようになっている。読点が使われないことは、前歌で過剰なまでに挿入が頻発していたことと対比される。

 

「雰囲気」「実在」

 

 

 

 

ほんの少し、風のつよめの日を選び、草原スープ婚のはじまり

 

 『草原スープ』を中心に爽やか系を散らした感じだが、『婚』が独特である。『草原スープ』は野草を使ったスープに対してそれなりに言うことがあるらしいが『草原スープ婚』はかなり普通でない言葉だ。他のなんとなく雰囲気で爽やかさを出している周囲に対して、『婚』は結婚に関連する語でしか使われない。

結婚は明確で公的な約束で、恋愛の終着点であり、それをした時から、大人としての責任のある振る舞いがわかりやすく区切りとして要求される。自由なひとりの人間ではなく、パートナーと一つの組織になって、相互監視の中で暮らしていくという事を、周囲へ宣言することなのである。適当な『ほんの少し』『選び』などはこの性質と全く逆のふわふわとした雰囲気のワードだ。

 

「婚」「雰囲気」