巣/人生の意味/植毛

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手紙魔まみ感想85・86

アイ・ラヴ・エジソン、アイ・ラヴ・エジソン、川沿いの径(みち)を小さな水車抱えて

 

 前半部は大きく乱れているが、後半部は五七七で読める。

 エジソンは偉大な発明王であって、電気をはじめとしていろいろやっている。現代人にとってとても大切な偉人であって、確かに『ラヴ』の対象として適当なようでもあろう。

 後半は牧歌的な風景の中に溶け込む人間の描写である。『小さな水車』はつまり、実用具ではないだろうし、実用具としての水車の役割を奪ったのはエジソンの電気、そこが前半部との関連性部分なのだろうか。電化製品に取り囲まれた日常とかけ離れた世界観の様子だが、電気があるからこそ『小さな水車』というおもちゃに存在の余地が生まれた。

 『アイ』を繰り返し主張した前半部のために、後半部も主体の実行動であるかのように見える。しかし、作中主体はこの行動をしているわけではなく、絵や文字として創作された平和にすぎないのだろう、とこの次の歌が思わせる。

「日常風景」

 

 

 

天沼のひかりでこれを書いている きっとあなたはめをとじている

 

 天沼は東京の地名。

 『これ』が前歌のことであると補完すると落ち着きやすい気がする。『あなた』が寝ている時間に、文明の利器「電気」による『ひかり』で牧歌的風景を描くという様子。田舎に幻想を見つつ、都会の便利さを手放すつもりはないのである。

 『あなた』は『穂村さん』か読者といったところだろう。

「電気」