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手紙魔まみ感想35・36

夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている

 

 大胆な破調、幼さや女らしさを漂わせる言葉遣いなどはなく、そういった意味では普通の短歌であるが、『手紙魔まみ』の中では目立たさられる特徴といえる。

 内容は誰にも守られない信号についてである。普段から人通りは多くないが、『夜明け前』の時間も重なり、相当人通りが少ないだろうと推測される。人がめったにとおることがない上にたまに通っても見渡すことで周囲の安全は十分に確認されるため、信号が必要がないという状態である。その状況の信号にスポットを当てることで、誰にも気に留められず必要とされないのに動くことを気の毒だと想像したり、自分もそうであるという感情移入をしたりすることをさせる。

 『ぬ』はやや古語めいているがほかの部分では現代語であり、音を収めるために仕方なく採用されているといえる。このような不一致は望ましくないが、この歌における『まみ』らしさのためにわざと不完全にしたことも考えられる。

「不要物」「孤独」

 

 

 

ピストルに胸を刺されて死んだのよ、ママン、水着の回転木馬

 

 回転木馬はメリーゴーランドの日本語。

 ピストルは確かに武器であるが、刺殺ではなく射殺をするものである。『死んだのよ』と口語で何気なく説明しているが、後に続く『ママン、水着の回転木馬』はなかなか意味不明であり、難しい気持ちになる。『ママン』が死んだ、『回転木馬』が死んだ、前半とは関係がないなど、どのようにでも解釈でき、どれもメチャクチャだろう。『水着の回転木馬』も馬が水着を着たメリーゴーランドなど、ナンセンスとしての理解しかできない。

 何かの『死』という出来事の恐怖から、混乱状態になり、それを短歌の不成立具合から表そうとしたのだろうか。

「意味不明」「混乱」