手紙魔まみ感想17・18
月よりの風に吹かれるコンタクトレンズを食べた兎を抱いて
『よりの』は『からの』の意味。『コンタクトレンズを食べた兎』はコンタクトレンズをなくしたことを「ウサギが食べてしまった」と結論した、という内容である。ウサギが現実の存在であるかどうかはいまだに曖昧で、「近所紹介の歌」でも語られていないかった存在である。コンタクトレンズという手違いからのなくし物を虚構(?)のウサギとつなげることによって、虚構と現実が混ざりあう。
しかしこの歌の主筋は「兎を抱いて夜風に吹かれる」であり、作中主体は兎が虚構であるとは疑おうともしない態度を装っている。
「虚構」「ウサギ」「直接」
杵のひかり臼のひかり餅のひかり湯気のひかり兎のひかり
意味では定型と異なるが、(2+4)×4+7は31音であり音ではずれていない。
月とウサギから兎の餅つきが導き出された様子。科学的な事実では月は星、巨大な岩ということが現代人には明らかだが、実際に見られるものとしては夜空の光で、ある意味虚構的である。月上にウサギも餅も存在しそうにないことは誰でも知っているが、それが本当の意味、実際の月を隅から隅まで探すということで確かめられたことはないのである。そして『ひかり』、月面の穴の影としての「ウサギの餅つき」は日本の伝統的な伝説である。『杵』『臼』までは影として見られるものであり、『餅』『湯気』はそれを補ったものである。後の方が虚構性が高いようになっている。『兎』は月上伝説であると同時に作中主体が連れて、抱いているものである。三音であることからも、他の4つとは別の位置を持たされている。
「虚構」「月」「光」「ウサギ」