手紙魔まみ感想9・10
ほむらさん、はいしゃにいっていませんね、星夜、受話器のなかの囁き
会話文部分がひらがなで、地の分は漢字。やや一般的でない『星夜』がリズムや雰囲気のために採用されていたり、『囁き』という難しめの漢字が使われている。『なか』はひらがなだが、接続詞以外すべて感じにするのは固すぎるし、本当の意味で「中」にいるわけではないといったことが平仮名の理由なのだろうか。
電話は手紙と対としての存在である。電話の方が新しいテクノロジーで現在のコミュニケーションができるが、手紙には手間がかかる分の風流、手書き文字、後に残るといった特徴があり、ノスタルジックな効果もある。
『ほむらさん』は作者の名前であり、話し手は『まみ』だろう。主体がどちらなのか曖昧で、前後の歌を考えると『まみ』のようであり、会話文のテンションの高さと地の文の落ち着きの対比に注目すれば『ほむらさん』が主体であるような気もする。
『手紙』が堅苦しいものになりつつあることへの対抗としての高テンションにも見える。『はいしゃにいって』ないということは電話だけで推測できることではないが、口を使たコミュニケーションであり、微妙に関連のあるコメントのように受け取れる。
「電話」「対比」「高テンション」
「汝クロウサギにコインチョコレットを与ふる勿れ」と兎は云えり
ウサギにチョコレートをやるのは、実際死ぬのでタブーらしい。『汝』『チョコレット』『与ふる勿れ』『云えり』と固い言葉の多さとその内容のかわいらしさのギャップが中心の歌だろうか。『ウサギ連れ』の題名と関連のある内容であることも重要かもしれない。
『ギャップ』『ウサギ』