巣/人生の意味/植毛

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ラインマーカーズ98・99

にょにょーんとピザのチーズを曳きながらユダとイエスのくすくす笑い

 

 『ピザのチーズ』と『ユダとイエス』のアンバランスが特徴。身近な食べものと遠い昔の異国の偉人。ともに外国のものだが『ピザ』と『イエス』らに直接の関係はなかっただろう。Wikipediaでピザの歴史を見ると、現在のピザに似たピザが作られるようになったのはトマトが持ち帰られた16世紀辺りからとある。一方、チーズの歴史は長く、新約聖書時代にはそれなりに普及していたと思われる。ユダヤ人は元々遊牧民族であり、旧約聖書中には乳への言及が多い。

 ユダはイエスを裏切った人物なのだがここではくすくすと笑いあっていて、何でもない日常の中にいるようである。天国で穏やかに過ごしているだとか、そういった場面設定なのかもしれない。『にょにょーん』『くすくす笑い』など全体的に和やかな雰囲気があり、そういったなかに人類史に残る裏切り者と裏切られた者が違和感を発揮しているという歌。

 

 あと、関係ないですが、ユダとイエスが好きなら太宰治の『駆込み訴え』を読みましょう。青空文庫にあります。

 

 「和やか」「ユダとイエス」

 

微笑せよ仙波龍英どのチャリも盗まれたそうに輝く夜を

 

 仙波龍英は歌人。2000年に死去している。

 人名を使った歌が続いている。こちらはかなり最近の人物である。作中主体に『微笑せよ』と命じられるだけの存在だが、名前について知らなくともやたら迫力のある漢字で構成された名前なので、そういった意味でのパワーを放ってはいる。

 『チャリ』という俗語の言い回し、それに主体があるような表現も特徴。ヒャッハー盗むぜーという気持ちに作中主体がなっているということだろうか。

 

 「仙波龍英」「盗む」98・99