シンジケート感想92・93
階段を滑り墜ちつつ砕けゆくマネキンよ僕と泳ぎにゆこう
マネキンは大きさ、形が非常に人間に似ていて、それが壊れてゆくということ葉人の気持ちに恐怖っぽいものをもたらすものがある。『泳ぎにゆこう』という呼びかけは実際マネキンが泳ぐことができないこと、それどころか誘いにこたえる口、聞く耳も持っていないということを強調する効果になっている。前半部には突飛でない分、急な『泳ぎにゆこう』がパワーを持つ。
「壊れる」「突飛」
夏の川きらめききみの指さきがぼくの鼻血に濡れてる世界
『夏』、前歌までで『蝿』『扇風機』『海』などの夏語があった。『鼻血』はなんとなくまぬけさのある血。そこ以外は真面目語が占めている。『きらめき』や『世界』あたりは特に日常語とオーバーな語の曖昧な部分なのでどこによせて終着させるかというのに『鼻血』は重要。
『きれい』『鼻血』『美』