巣/人生の意味/植毛

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ラインマーカーズ感想88・89

このあろはしゃつきれいねとファーブルの瞳(め)で告げたるひとよ

 

 やたらひらがなを使って話す『ひと』が登場。『ファーブル』のようなとは、好奇心が強く伝わってくるような態度ということだろうか。『このあろはしゃつうきれいね』は表面的には会話のつなぎのようなお世辞にも聞こえ得る言葉だが、『ファーブル』のような視点を持つ『ひと』を讃えることがこの歌の主題で、前半の会話文は『ひと』なりに必死に探し出した、価値のある言葉、と作中主体は位置づけている。

 

 

 

眼鏡型渦巻きストロー駆け回るミルク 死ぬまで騙しておくれ

 

 突飛で馬鹿馬鹿しい物体である『眼鏡型渦巻きストロー』を持ち出し(そういうジョークグッズはあるらしい)それにかき回されるミルク、空白の後に真剣で痛烈な願い。

 前半の『ミルク』まででは『ストロー』に自我があるかのような描写だが、実際にはある人物がストローをいじくっている。後半部の願いはその人物へのものである。飄々としてジョークグッズを使うような人物だが、作中主体はそれへ自分を死ぬまで騙してほしいといっている。ともにいて愉快だが責任感はなく信頼も置けない人物で、それでも自分をせめて死ぬまでは楽しませて、と?