ラインマーカーズ58・59
ひらがなっきゃ読めない人の手を引いてあかるいあかるい月の道です
『ひらがな』について直接的に言及されている。前にもいくつかひらがな表記が特徴となるものがあって、それを踏まえてということになる。感じの変わる四句目以後の『あかるいあかるい月の道です』はひらがなの四句目も特徴的だが、『です』という結びのかしこまった様子が、『ひらがなっきゃ読めない人』との距離感のぎこちなさが感じ取られる。しばらく会っていなかった年の離れた知りあい、とかだろうか?
ジューサーとミキサーの墓場想いつつおまえの足を折り曲げる夜
ジューサーとミキサーは共に野菜ジュースづくりなどに使われるが、ジューサーは搾り取る、ミキサーは粉砕するという方向の機械。繊維分がジューサーでは含まれず、ミキサーでは含まれ、ドロドロ感に違いが出るとのこと。
そういったことはどうでもよく、ここでは意味合いとしては健康器具という意味合いが強い。健康、生の象徴に対するのが『墓場』という死のイメージ。『足を折り曲げる』という動作から連想するのは睡眠中のほかでは人形や死体が連想される。『夜』というのも、どちらともつながりがあるのでは。
『想いつつ』のなど、全体的に優し気な感じなので、実際死体ではなく睡眠中だろうが、同時に墓場のイメージも持ちつつという、漠然と陰湿な雰囲気も漂わせている。