ラインマーカーズ27・28
泣きじゃくりながらお前が俺の金でぐるぐる回すスロットマシン
ギャンブル中毒者が作中主体に金をたかってスロットを回しているという話。
『くり』と『ぐる』で韻を踏んでいる気がする。『お前が俺の』と即座に指摘する様子はスピード感がある。
「神は死んだニーチェも死んだ髭をとったサンタクロースはパパだったんだ」
ニーチェは有名な19世紀の哲学者で、『神は死んだ』で有名。哲学書というより散文的なものが多い。前述の言葉は死後の世界への望みや幻想を抱くことができなくなり、キリスト教的な信仰が崩壊してしまったということを表現しているとされる。「神は死んだ」は「神はいないのだから、教会や神父は嘘つきの詐欺師だ」とかそういった単純な批判ではなく、そのような救いなしに、生きていかなければならない自分たちに向けた嘆きの叫びである。ニーチェが示したのは、生き方の規範、目標として「超人」を定めることであり、『ツァラトゥストラはかく語りき』などの著書でそのことを表現したとされているが、暗示を用いて難解な思想を語る形式の著作の理解は容易ではなく、統一的な理解がなされるものではない。
3つの内容に分けられ、『神の死』『ニーチェの死』『サンタクロースは親』ということが並べられている。『サンタが親』は神話の崩壊というイベントで、現代人に最も身近だといえる。
だがここで最も際立っているのは『ニーチェの死』だ。ニーチェは過去に存在した人間である。それに対して、神とサンタは空想上にあるだけの存在だった。この二つが類似であり対比。神の死の発見者はニーチェ。そうすると、サンタの死の発見者が語り手(会話文形式なので、作中主体の視点からすると、子どもの発見を聴いているということになる)
ここからあとがかみ合わない。これから子供が「サンタがいない世界で生きなければならない不幸」を語っているような気がするが、作中にあるのはニーチェ自体ではなく『ニーチェの死』であるからだ。『パパ』のことも掘り下げて考えた方がいいのかもしれない。サンタの創造者、殺害者、共犯?単に環境、世界?