巣/人生の意味/植毛

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ラインマーカーズ13・14

月の夜の暴走族は蜜蜂のダンスを真似て埋立地まで

 

 蜜蜂のダンスは、仲間に餌の方向を伝えるための飛び方で、言語のようなものである。

 埋立地に『暴走族』が向っていることに対して、『蜜蜂』をかぶせている。他人の行動について、野生の虫の行う行動に見立てるというのは、無礼な行動である。蜜蜂は集団で動く、危険な針を持っているが、使うと死ぬなど、色々とモチーフにしやすい性質がある。作中主体はきっと、暴走族とは異なるグループで、暴走族のことは『蜜蜂』と同じくらい知らないず、その意味において、作中主体の中で蜜蜂と暴走族の間でダブりが発生したため、このような表現が出たのだろう。

 『月の夜』と『埋立地まで』は『暴走族』のイメージに即した舞台設定の描写で、『暴走族』を実際的に見せていく効果がある。『蜜蜂のダンス』は太陽の位置を基準として行われることから『月と太陽』『暴走族と蜜蜂』『餌場と暴走族の用事』という対比が生まれる。

 

 

 

チューニング混じるラジオが助手席で眠るおまえに見せる波の夢

 

 最後が九音で、リズムが悪くなる。ゆったりとした雰囲気をつけるためだろうか。緩急の緩。雑音の混ざるラジオがあり、助手席で『おまえ』が眠っている。周波数、音の波などのイメージが『波の夢』につながったのだろう。『おまえ』に対する作中主体の優しみが感じられる短歌。『ラジオ』『助手席』から作中主体は一人夜通し車の運転をしていそうなところであるのに、『おまえ』を慈しむという雰囲気なのだ。