巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想233・234

砂の城なみうちぎわにたてられてさらわれてゆく門番ふたり

 砂浜の波について歌っていることで二句前のものと共通点がある。砂の城と門番を作ったが、波によって壊れていく。『ふたり』と述べていることから、よく登場していた海に訪れたカップルの破局を暗示しているような気もする。
 砂浜のものが波で壊れるというモチーフ自体はあるあるネタではあるので、『門番ふたり』をメインにし、『さらわれてゆく』という物ではなく人間のための語を使っているということに注目すべきだろう。

 

 


夕焼けの雲に向かって「アカ」「アオ」と水兵さんの手旗信号

 『「アカ」「アオ」』は通常の交通信号と同じ意味合いで、「進め」「止まれ」らしい。
 雲に向かって何をしようと無意味であるにもかかわらず、せわしなく手を動かす水兵の様子。『「アカ」「アオ」』の意味が分からなくとも、無意味さがもの悲しさとして伝わってくる。夕焼け自体のイメージもそれに重なる。また、赤と青は夕焼けと昼の空の色のことでもある。
 『水兵さん』と『さん』をつけることで、水兵自体は主体ではなく、それを客観視している状態だということとなる。