巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想189・190

雨は降るおまえにおまえが春の野に草を結んでつくったわなに

 

 『に』の位置やら言葉のつながり方が微妙に紛らわしいが、『おまえ』と『わな』に雨が降る、という内容で『わな』について『おまえが春の野に草を結んでつくった』という長い説明がある。『おまえにおまえが』という繰り返しに、言葉のつながりとしてはそれなりに距離があることも分かりにくさのもとになっている。

 作中主体に、『おまえ』が『わな』を作るところも、それに獲物がかかるのを待っているところも眺めている、見守っているという様子がある。『おまえ』の保護者のような存在なのだろうか。『雨』は障害としての舞台装置のように見える。障害にもくじけないで、やっていこうとする様子を描いた短歌。

 『春の野』という語も季節を示すために存在している。始まりの季節である春は単に季節を示すだけではなく、この試練は決して乗り越えることが絶望的であるといったものではなく、程よい成長の糧にされるのだろうといった予感を与える効果もある。

 

桟橋にしゃがんでボート引き寄せる杏仁豆腐色の空の下

 

 『杏仁豆腐色の空の下』がポイント。杏仁豆腐は甘いデザートで、真っ白と言っていいほど白い。曇っているのだろうが、それを気にしないような心持ちなんだろうか。『〇の〇の〇』は特徴的な八音のリズム。

 前半部のことはよくわからない。デート前? 一人で釣りに来た?後半の明るい感じからすると前者に近いのかもしれない。