シンジケート感想173・174
歯を磨きながら死にたい 真冬ガソリンスタンドの床に降る星
空白による区切りがある。五・七・三・九・七?単語の分断があるのは三と四の間だけなので、無理やり音で切って読んでも際立って違和感が起きるほどでもない。
『死にたい』のパワーが高い。それ以外の語は日常動作、時期、非現実性を伴う情景描写。
夏より冬の方が死に民が高まる気がするという部分はある。暑いし、生き物もにぎやかでなんとなくエネルギッシュな時期と、太陽が弱々しく、家にこもりがちな時期ではやはり後者の方が活力が落ち気味になりやすいだろう。『歯を磨きながら』という日常の最中に降ってわく感じさにも冬だし、凍死と熱中症のどちらがハミガキのイメージに近いかと言えば凍死という連想も起こる。
『真冬』があるのは空白後の後半だから、『死にたい』と繋げすぎるのもいけないかもしれないが。
後半、冬の空の寒々としながらも美しさがあるという感じを出している。死と冬の夜というマイナスイメージを並べつつ冬の美を漂わせて死を美化? ガソリンスタンドは屋根があるから何か降っても床に落ちないし、星が降って落ちることはそもそもない。
恐ろしいのは鉄棒をいつまでもいつまでも回り続ける子供
定型に近い。
鉄棒を回り続ける子供への恐怖。理解しがたい存在に恐怖を抱いている。自分も子供の時はわけのわからないことをやっていたのかもしれないと思っておびえているのか。『いつまでもいつまでも』という繰り返し。