シンジケート感想145・146

空の高さを想うとき恋人よハイル・ヒトラーのハイルって何？

　ハイル・ヒトラーはナチス時代にヒトラーをたたえる掛け声。ハイルの意味は万歳に近いらしい。意味で区切れば七・五・五・七・七で、定型ではない。

　『ハイル・ヒトラー』はナチスの象徴であるが、ナチスが何の象徴かを戦後世代から考えると、敗戦側を象徴する存在だといえる。不況のドイツにおいて民族主義を煽ることで民意を味方につけ、ドイツの独裁者となり、戦争と大虐殺を行った。そのナチスへ、民衆が一体となって贈る賛辞が『ハイル・ヒトラー』だった。

　『恋人』と居て、『空を想う』。この首は戦後が舞台であり、全く平和な日常のを感じる。しかし、近代戦争と『空』と言えば、飛行機による空爆が思い浮かばれる。日本では、戦時中の恐ろしさを伝える話の多くは空爆だ。空を見て、飛行機の爆撃を思い出し、第二次世界大戦と『ハイル・ヒトラー』のことが気になった。ということだろう。

ボールボーイの肩を叩いて教えよう自由の女神のスリーサイズを

　ボールボーイは球技において、場外に出たボールを拾う、渡すなどの役割をする男性。女性ではガール、性を意識しない場合はパーソン。自由の女神はアメリカ独立を記念するもので、抑圧からの解放といったものの象徴でもある。像自体の性別は公式には不明らしいが、モデルが女性であることから、女性とするのが普通だろう。

　『スリーサイズ』を教えられたとしても、巨像である『自由の女神』に対して性的魅力を抱くことはないと思われる。そのような無価値の情報なのだが、順序の逆転による強調効果から、もったいぶって教えようとしている状況が浮かび、おかしみを感じさせる。『ボールボーイ』は英語で、アメリカと近しい。また、作中主体にとっての他人であることも示唆されていて、もったいぶった感じに拍車をかける（他人に声をかけるからには、重大な情報であると考える事が自然である）。『ボールボーイ』は球技の試合道具のようなもので、ある意味人ですらないようなものなのに。