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巣/人生の意味/植毛

短歌について/その他サブカル色々/男、派遣社員、23/うたのわで斧寺0

シンジケート感想107・108

人はこんなに途方に暮れてよいものだろうか シャンパン色の熊

 

 シャンパン色は透明感のある黄金色。

 七・七・八・九。四句だが三十一音より多い。

 実際このような色の熊もいるだろうが、個人的な直観としてテディベアが思い浮かんだ。その印象から歌全体をテディベアに悩みをひとりごちている様子、と解釈した。『人はこんなに途方に暮れてよいものだろうか』はずるずると不安をあおるが、『シャンパン色の熊』はメルヘンチックであり、実際の野生動物的な恐怖ではなく、かわいらしくて安心感を感じる言い方だ。もしくは動物園の熊や写真の熊であるかもしれないが、恐ろしい外的ではなく癒しを与えてくれる愛玩物としての『熊』であることは確実だろう。

 

 

 

鳥の雛とべないほどの風の朝 泣くのは馬鹿だからにちがいない

 

 ほぼ定型だが四句、五句は意味と音の切れ目が不一致。

 『泣く』のが『鳥の雛』ならば普通「泣く」のはずだろうが、漢字ではっきりと『泣く』であると示されている。三句と四句の間にあるスペースもこの二つが一致していないことを表している。

 そういってもどう短歌のうちにある以上、全く無関係というわけではない。鳥の雛が鳴いているのを見て、『泣くのは馬鹿だからにちがいない』と思った。雛という無力な存在が風に阻まれ、動くことができない状況でそう感じたのは、自分も雛のように、無力で、障害に悩んでいたからだ。ここで泣くのは『馬鹿』であるとして、泣かないようにしているのである。四句、五句の意味と音の切れ目の不一致からはそのような現状分析を冷静にできない焦りなどが伝わってくる。