シンジケート感想90・91
愚かなかみなりみたいに愛してやるよジンジャエールに痺れた舌で
ジンジャエールは、ジンジャー(しょうが)で味付けし、カラメルで色を付けたノンアルコールの炭酸飲料。しょうが独特の辛みが特徴的。
四・八・七・七・七。『愚かなかみなり』は形容詞と対象のつながりが不適当で意味不明瞭な語。それ『みたいに』ということもどういうことなのか具体的には想像しづらく、『愚
かな』という言葉の印象の身が頭に残る。『愛してやるよジンジャエールに痺れた舌で』と続くが、まず『愛してやるよ』が大きく定型から外れていることで、不器用性を表すものになっている。『舌で』愛するというのは、性交の一種を連想させる。舌を使った性交をする直前にジンジャエールをのむような状態が不器用性なのだろうか?
耳たてる手術を終えし犬のごと歩みゆかんかぜの六叉路
犬の耳について、断耳という耳の一部を切り取る手術があり、それによって耳を絶たせるようにすることがあるらしい。六叉路は六つの道が交わる交差点。
『耳立てる手術を終えし犬のごと歩みゆかん』という突飛な設定のような比喩が冒頭から始まる。突飛だが、断耳手術のことを知らなくとも勇ましそうに歩いているのだろうということがなんとなく伝わってくる、だらしなく垂れている耳がピンと張った犬が勇ましいように思えるからだ。
そして歩いて行くのは『かぜの六叉路』。あまり使わない言葉でかっこいいという感じがある。入り組んでいる団地とかだろうか。