巣/人生の意味/植毛

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シンジケート感想86・87

ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

 

ドラえもんは有名な藤子・F・不二雄による漫画のキャラクターで、未来から来たロボット。腹に付けた四次元ポケットから未来の便利な道具を取り出す。あらゆる面で駄目な少年、のび太を助けるために未来ののび太の子孫が送ったが、ドラえもんもロボットの中では出来にいい方ではない。また、正しい表記はドラえもんであるが、短歌中では『どらえもん』。指摘があったらしいが直さなかったようだ。

一句目の『ハーブティーに』は六音、四句、五句の『嘘つきはどらえもんのはじまり』は十五音で定型より長い。三句目までは冒頭がすべて『は』から始まる。内容は薄く、一句目と二句目はほぼ同じ。

四句、五句の『嘘つきはどらえもんの始まり』が独特。「嘘つきは泥棒の始まり」の変化形だろう。ドラえもんは小手先でごまかすといった部分があり、嘘つきと似た部分がある。極端すぎる泥棒よりらしさがあるといえるかもしれない。

十五音による定型からのずれ、切れ目に配置された『どらえもん』が虚構性を強調している。

 

 

俺にも考えがあるぞと冷蔵庫のドア開けて放てば凍ったキムコ

 

 キムコは冷蔵庫の匂いを脱臭する小林製薬の製品。冷凍室では使用できない。

 四・九・八・七・七(?)。二句、三句が異様に長い。冷蔵庫は五首前にも出ていた。『俺にも考えがあるぞ』は話し言葉的、けんか台詞であり、実力行使の直前的な感じがある。『凍ったキムコ』では問題の解決にも自分の増援にも使えないだろう。それに頼ろうとする切羽詰まった気持ち、もしくはユーモアで話題の転換や軽減を図る。

 四句、五句で七七に回帰していることへの安心感を感じた、提携からずらすという効果はいろいろ考得る必要がある。