シンジケート感想80・81
フェンシングの面マスク抱きて風殺すより美しく「嘘だけど好き」
フェンシングはヨーロッパの剣を用いるスポーツ競技。2008年にフェンシング競技で日本人初のオリンピック銀メダルを受賞した。
二句目、四句目で格助詞『の』『より』が句の頭になっている。リズム、調子がずれて奇妙に感じられる。『より』が『風殺す』と『「嘘だけど好き」』の比較なのか、単純に『美しく「嘘だけど好き」』を強調しているのかわからないが、発音すると単純な修飾の感じが高まる。
三句目からあとはかなり不明瞭で誰が風を殺すのか、何が美しいのか、「嘘だけど好き」が何なのか全く分からない。衝撃的な言葉を並べただけにも見える。
ねむりながら笑うお前の好物は天使のちんこみたいなマカロニ
『ちんこ』がこの首のいびつな部分。それがなければただかわいらしいだけのものに、『ちんこ』、男性器の幼児語という品のないものを足す。そしてそれを食物に例える。
また、どこの誰のちんこでも、というわけではなく、『天使のちんこ』である。ルネサンス絵画などの天使が全裸であることは少なくなく、『天使のちんこ』は女性にも想像しやすいといえるかもしれない。
『お前』が『ちんこ』自体に対しても『好物』としているのではないかという感覚、『ねむりながら笑う』もいやらしいものであるかのように見えてくる。
『ねむりながら』『みたいなマカロニ』は字余りで、ゆったりとしたリズムになる。『天使のちんこ』は3字で中心に「ん」のある単語の連続で、ここにもリズムができる。