シンジケート考察41・42・43・44
夕闇の受話器受け(クレイドル)ふいに歯のごとし人差し指をしずかに置けば
クレイドルはゆりかごの英語。受話器受けをクレイドルということはそれほど一般的ではないはず。
受話器は外されているのだろう。そこへ『歯のごとし人差し指』を『ふいに』置いた。『ふいに』『歯』などは攻撃的な気持ちを示しているが『しずかに置けば』は徹しきれない様子ともいえる。
歯のごとしがどこにかかっているのかや、何がクレイドルなのか。
君がまぶたけいれんせりと告げる時谷の紅葉最も深し
まぶたの痙攣と紅葉がどう関係するかという読み取りが必要。痙攣したのが作中主体なのか『君』なのかも明確ではない。
許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて
風呂に入ると気持ちがリフレッシュするということを詠っている。『みどりみて』の韻。文字でみると『みて』が命令形なのか切れているだけなのかわかりにくい、かけているのだろうか。倒置法。『許せない/自分』という切れ方は分かりにくい。
バラの棘折りつつ告げる偽りの時刻信じて眠り続けろ
『偽りの時刻信じて眠り続けろ』が意味深。誰が『バラの棘折りつつ』『偽りの時刻』を告げているのかというと、信じろ、と言っているのだから作中主体が言っているのだろう。誰を寝かせたいのか。偽りを信じたままに寝かせたままでよいのか。