シンジケート考察35・36
乾燥器のドラムの中に共用のシャツ回る音聞きつつ眠る
シャツを共用にしている、それを聞きつつ作中主体は眠るが、『共用』している相手はおそらく起きていて、選択してから眠る必要がある。他の家事も任せっきりという可能性もあり、そういった甘えについて歌っているように思える。『の』が繰り返され、リズムがある。
卵大のムースを俺の髪に塗りながら「分け合うなんてできない」
髪に塗っているのだから整髪料のムースだろう。資生堂の登録商標。髪に艶や固定力を与える。食品のムースというものもある。クリーミーなデザートで、見た目としては似ている。
会話文のセリフは作中主体である『俺』に『ムース』を塗っている人物で、おそらく恋人だろう。『「分け合うなんてできない」』はムースに関するセリフと思われる。なぜムースを分け合えないかが問題。
出しすぎてしまったから分け合って使おうと提案したところ、そのように返されて、多すぎる『卵大』の量を丸ごと塗られているのでは、という風に感じた。整髪料は割とデリケートな部類に属するもので神経質な人間なら共用には抵抗を覚えるだろう。食事の訳合いにも似た行動で、『卵』『ムース』はそこへ連想をつなげる効果を持っている。恋人との微妙な距離感を詠ったものであると解釈した。カギかっこにも距離感をもたらす効果がある気がする。