巣/人生の意味/植毛

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シンジケート 考察1

風の夜初めて火を見る猫の目の君がかぶりを振る十二月

 

十二月で結ばれている。まず最初に最後が月で締められる短歌が続くのである。始まりが十二月からで、十二、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一の順序である。なぜだろう。一月から、または四月からが普通の形式であることに反している。自身の誕生日が関係しているのかもしれないと思い、穂村弘の誕生日をGOOGLE検索したところ、1962年5月21日とある。十二月生まれというわけでもないらしい。調べればわかるかもしれないが、それ以上はやめておく。

 

 十二月の歌なので、きっとこの風はとても寒いのだろう。(この月の短歌には、それほど

月の必然性があるのかどうかわかりづらいものが多い、というものが、ざっくりと流した時の感想だったのです)初めて火を見る猫。猫が初めて火を見ることをどのように判断したかを考えると子猫の時からずっと飼っている、とても幼い猫である、初めて見るかのように珍しげに、真剣にみているなどの場合があると思う。私の解釈では最後の真剣に見ている、である。この短歌中の猫は、あまり活発に動いてないように思う。対して、火はゆらゆらと揺れ、猫の視線を奪っているはずだ。風が吹いているからである。

かぶりを振る君。かぶりとはアタマで、頭をカブリとも読む。かぶりを振る、で首を振る、のように否定の動作を意味する。猫の目の君。猫は火を見ているのではないのか。とすると、火は君の比喩だったのか?のらりくらりと話をかわす君を火にたとえたのかもしれない。君、と呼んでいる人間がこの歌の主体である。のらくら交わされて困っているのだろうか。猫の飼い主が君なのかもしれない。十二月、クリスマスを前に別れ話でもする男女なのかもしれない。厳しい風の吹く季節、穏やかな話ではないような気がする。